Savath & Savalas

Apropa't(←amazonで視聴可能)
Warp
savath.jpgこの"Savath & Savalas"は以前にも紹介した、"Prefuse 73"のスコット・ヘレンの別ユニットです。
Prefuse 73の音を聞くと同じコンポーザーとは思えない趣向。つくずく独自性のあるスタイルを確立していることにうらやましさを感じざるをえません。
「Apropa't 」は、アコースティックギターとフォーク、スペイン語の女性ボーカル、美しいメロディ、そしてWarpからのリリース。もちろん全て生音っていうわけでもなく、生音の良さを引き出すための音響的な味付けという解釈をすると俄然気持ちよく聞こえる。
ノストタルジックなボーカルは一日中聞いていても飽きない上に、これを聴いていると、とても気持ちが和む。
"savath & savalas"の作品の中ではよりpopな趣向ではあるようですが完成度は高く、聴き応えも十分。初めて聴くなら文句無しの逸品です。

2004年07月26日: mikado

Heart of the Forest

The music of the BAKA forest people(←amazonで視聴可能)
Ryco Disc / Hannibal record
heart2.gif西アフリカのカメルーン南部に住むピグミーの『バカ族』(バカ ピグミー)による生活音楽を現地録音した音源。録音は1990年と1992年の2回に渡り行われたようだ。
フィールドレコーディングされた音源には通常『目的の音以外の環境音が混在する』という大きな特徴があるが、彼らの住む西アフリカのレインフォレストでは、環境が発する音は人間の発する音よりはるかに大きく、物音は人間を威圧するかのように鳴り響く。バカ族の歌声はややもすすると遠ざかり、かすれ、ためらい、中断してしまう。まるで、ここで暮らす人間と環境の関係をそのまま切り取ったかのようだ。歌声や楽器の音は頼りなく、しかし、同時に楽しげでもある。
オープニング曲となっている、くりぬいたヒョウタンなどを半分に切りぬいたものを川面にポチャポチャとつけて奏でる『ウォータードラム』の音(と倍くらいの音量の蝉の声)はとにかく印象的だ。
フィールドレコーディング作品の歴史に残る傑作と呼べる作品ではないだろうか。


2004年07月12日: pinaco

YOONKEE

ASIAN ZOMBIE
UUTWO RECORDS
yoonkee.jpg韓国はソウル生まれ、ロンドン在住のアーティストYOONKEE。本作は2004年春にリリースされた彼の1stアルバムであり、DRY&HEAVY/LITTLE TEMPOの内田直之氏がDub Mixを手がけたことでも話題となった作品。若干24歳とは思えないオヤジ臭の横溢した焼け&ユルみサウンドは、マニー・マークや70'Sレゲエあたりを髣髴とさせる。
エフェクターの都合がつかなかったためビニール袋に包んだ機材を風呂桶に沈めて録音してみるなどいい意味でも悪い意味でもいい加減な所がDubミュージックに対する資質そのものといった印象。
(几帳面にやる音楽じゃないでしょう、Dub?)
実際、ヒスノイズが乗りまくった録音とグラグラした音程がこの上なくマッチして、ジャケットも含めたトータルなコンセプトとなって彼の世界を(グダグダな方向で)見事に築き上げている。
特に千鳥足に奏でられるメロディカは泥酔者の内面をリアルに描いたようでサイケデリック。
すべての楽器や録音を一人で行ったからこそ、の濃い世界に浸れる作品。

2004年07月05日: pinaco